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わたしの富士山写真コンテスト


「見つめる少年」 勝又 悦朗
「見つめる少年」 勝又 悦朗
神社の祭の光景かなにかだろか。
詰め所に奉納された額付きの富士の絵が飾られているがまるでその小屋全体が富士を眺める装置のようだ。小屋の外のタングステン色と富士の淡い青が色のコントラストを生み出し、美しい。
その富士を覗き込む少年が仕込みであるかどうか、その点に留意したが、その自然な姿勢から仕込みでないことが分かる。いや逆に言えば仕込んでこれほど自然な感じが出せたとするなら、その方が腕前は上と言えるのかも知れない。
残念なのは小屋脇の中景に歩いている歩行者が邪魔で写真の全体の緊張感を削いでいる。
けっして余計な人物を入れてほしくないというわけではない。入れるならそれなりに全体を絵として補強するアイテムとして意識してほしいという事だ。その点作者の視線は無造作に過ぎる。
良い写真には違いないが、写真は主題のみならず、その周辺や中景や遠景にも目配せをしながら撮る複眼が必要ということをあらためて再確認させてくれる写真でもある。
講評 審査  写真家 藤原新也
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